農地転用許可の一般基準について(その2)

2. 申請に係る農地を農地以外のものにする行為の妨げとなる権利を有する者の同意を得ていないこと。

 これは、転用を申請する農地に対し、賃借権などの利用権が設定されていないかということです。農地は所有者と耕作者が別のことも多く、営農の効率性の観点からも賃料を払って耕作している者の権利は守られなければなりません。ただし、使用貸借の権利は賃借権と同様には守られません。
 また、実務では転用する農地の隣地が農地の場合、転用についての隣地の承諾書を添付書類として求められることがありますが、この隣接する農地の所有者や耕作者は、ここでいう「農地を農地以外のものにする行為の妨げとなる権利を有する者」には含まれません。

3. 許可を受けた後、遅滞なく、申請に係る農地を申請に係る用途に供する見込みがないこと。

これは、農地法の条文には明記されていませんが、農地法施行規則第47条第1号に規定されています。
 「遅滞なく」とありますが、原則、許可の日から1年以内に転用の工事が完了することを条件とする運用がされています。実務では、3か月ごとに転用工事の状況の報告をするように求められることが多いようです。

4. 申請に係る事業の施行に関して行政庁の免許、許可、認可等の処分を必要とする場合においては、これらの処分がされなったこと又はこれらの処分がされる見込みがないこと。

 これは、農地法施行規則第47条第2号に規定されていますが、関係する他法令の許可見込みがない申請については、当然と言えば当然ですが、農地法の許可も受けることができません。
 例えば、市街化調整区域で建築をする目的での転用にあったとして、市街化調整区域での建築を禁じる都市計画法の許可を受けない限り、農地の転用の許可を受けてもあまり意味がありません。
 ひとまず、農地法の許可のみ取得し、後で都市計画法の許可を取るつもりでいても、都市計画法の許可が受けられるかどうかわからなければ、転用目的以外の用途に使われてしまう可能性が大きいことから、このような許可の受け方はできないとされています。

5. 申請に係る事業の施行に関して法令(条例を含む。第五十七条第二号の二において同じ。)により義務付けられている行政庁との協議を現に行っていること。

 農地法施行規則第47条第2号の2の規定です。4 と似たようなケースですが、こちらは許可見込みではなく、許可とは関係なく、行政との協議によって施設の立地が変わる可能性があるケースを想定しています。
 まだ他法令や条例に規定された協議をしている最中に農地法の許可を出してしまえば、結果的に転用が進まない可能性があります。

今回は以上になります。ありがとうございました。

→「行政書士古川元一事務所