市街化調整区域で建設可能な建物について(2)

2 開発審査会基準(都市計画法第34条第14号)

 都市計画法第34条第14号には、「都道府県知事が開発審査会の議を経て、開発区域の周辺における市街化を促進するおそれがなく、かつ、市街化区域内において行うことが困難又は著しく不適当と認める開発行為」については、市街化調整区域でも認められると書かれています。
 「開発審査会」とは、この都市計画法第34条第14号の基準などを審査するために、都道府県や指定都市ごとに設けられた機関です。よって、都市計画法第34条第14号の基準は都道府県や指定都市ごとに違いがあります。以下に代表的なものを挙げます。

 分家住宅

 ほとんどの都道府県や指定都市の基準に共通してある基準の一つが分家住宅系のものです。市街化調整区域に線引き以前から継続して土地を所有、または継続居住する直系尊属の家庭を「本家」とし、その子らが新たな世帯を構成する中で必要となる住宅について、特別に建築を許可するのがこの基準です。

 市街化調整区域の居住者はもともと多くが農家であるため、かつては「本家が農家であること」が要件として挙げられていましたが、今はほとんどその要件は取り除かれてきています。
 基準は大きく以下のように分けられます。

①申請地の継続所有等
・市街化調整区域の線引き前または、別の基準日以前より直系尊属等が継続所有
・線引き前や別の基準日以前より直系尊属等が継続居住

②ある程度の市街化
・周辺の建築物の連たん数が一定以上(愛知県は50m間隔で200戸連たん)
・周辺の建築物の密度が一定以上

③敷地や延床面積の制限
・敷地面積の上限と下限
・延床面積の上限と下限

④住宅建築の必要性
・婚姻等で新たな世帯を構成
・転勤や退職などで転居が必要
・現在の住居に継続居住が困難または借家
・Uターンによる転居

⑤建築物の用途
・専用住宅である(多少の例外あり)
・高さ10m以下

実質的なハードルは①と②でしょうか。この他、本家や申請者が市街化区域内に住宅建築が可能な土地を所有していないことも当然の要件になります。

今回は以上になります。ありがとうございました。

→「行政書士古川元一事務所