前回からの続きになります。
4 農振農用地かどうかの確認
市街化区域内の農地であれば、転用の可否について迷うことはありません(まあ、生産緑地という例外はありますが…)が、次にその農地が農振農用地(通称「青地」や「農振」、「農用地」などと呼ばれることがあります) であるかどうかの確認をします。
線引き区域か非線引き区域、市街化区域か市街化調整区域、といったところまでは調査が簡単であるため、実務では、青地か青地でない農地の確認からスタートすることがほとんどです。
農振農用地の転用は、非常に難易度が高い上、可能であったとしても相当な時間がかかります。市町村にもよりますが、最低でも6か月はかかると思います。
農振農用地であるかどうかの確認は、原則市町村の農業委員会事務局にします。地番がわかっていれば、電話で確認ができますが、役所が閉まっているときにどうしても確認したい場合は「eMAFF農地ナビ」という便利なサイトがあり、地番、あるいは地図上で特定できる資料があれば、その農地が青地か白地かを確認できます。
ただし、「eMAFF農地ナビ」の確認だけで進めることは避けて、必ず、一度は窓口に確認するようにします。
農業振興地域制度について
青地指定の根拠となるのは、「農業振興地域の整備に関する法律」です。青地は農地の中でも、今後長期間にわたって生産性の高い農業が営まれることを目的として、都道府県によって指定されるものです。(ちなみに市街化区域には青地はありません。)
よって、そもそも青地のままでは転用はできず、転用の許可を申請する前に、青地から除外してもらわなければなりません。
青地の転用をする場合、転用の許可申請に入る前にやるべき手続きが増える、ということになります。また、青地は市街化調整区域と非線引き区域に存在します。
農地のランクについて
青地は別格な農地ですが、青地かどうかという区分とは別に、農地にはランクがあります。
その区分は以下のとおりです。
甲種農地 …農業公共投資後8年以内の農地。集団農地で高性能機械での営農が可能。
第1種農地…10ha以上の集団農地で、農業公共投資の対象。生産力が高い。
第2種農地…公共投資はされていない、小集団での生産力の低い農地。市街化区域の可能性あり。
第3種農地…市街地の中の農地。
一応、4種類あるわけですが、それぞれに基準がありそのつど窓口が判断していきます。その4種類の中でも、甲種農地と第1種農地は原則不許可という、建前があります。
第1種農地については、例外的に許可される可能性がありますが、たいていの場合、ライフラインが通っていないことがほとんどで、建物の建築には向いていないことが多いため、あまり転用をしようとする人はいないようです。
転用の手続きをする観点から言えば、第2種農地と第3種農地の区分が重要になってきます。
第2種農地は、生産力が低いとはいうものの、ある程度のまとまった農地のため、第3種農地を優先して転用するべきという建前があります。
そのため、第2種農地を転用したい場合、実際の手続きの際に、他の候補地を数か所挙げて比較して、ここでしか転用の目的を達成できないことを説明する必要があります。「選定理由書」といった添付書類が増えることになります。
今回は以上になります。ありがとうございました。
→「行政書士古川元一事務所」