② 抵当権と根抵当権
所有権以外の土地に対する権利で、実務で遭遇することが多いのが抵当権や根抵当権です。抵当権は特定の債権を担保するための権利で、根抵当権は「極度額」という枠の中で、債権者と債務者の間の特定の種類の、不特定の複数の債権を担保するための権利で、いずれも不動産に設定されていればまず登記されています。
抵当権や根抵当権が農地に設定されている場合は、抹消ができるものであれば抹消すれば問題はありませんが、抹消をしないまま転用の手続きを進めたい場合、抵当権者の承諾を得ているかの確認を求められることがあります。
③ 所有権に対する仮登記
それ以外の土地に対する権利で注意すべきは、所有権移転に関する仮登記です。この仮登記には、実体上の権利変動が生じているタイプのものと、実体上の権利変動は生じていないが権利変動を請求することができるタイプのものがあります。
いずれのタイプについても、権利の優先順位を保全する効力があり、この仮登記以降に登記されたものはそれが通常の登記(本登記)であったとしても、この仮登記を本登記にした際には効力を失う、という強い効力を有しています。
そのため、転用後にこの土地を担保に入れたい金融機関にとってはあらかじめ抹消をしてもらわないと債権が担保できないことになります。
この仮登記は非常に厄介な登記で、本登記がされないまま放置されているケースが非常に多く、仮登記の権利を持っている方に相続が発生してしまっていたり、権利を持っている法人が解散してしまっていたりします。
こうなると、すべての相続人を探し出して協力してもらったりと、非常に煩雑かつ実現が不確実な手続きをしなければいけなくなります。
どの段階で仮登記の抹消を求められるかは、転用後の事業に融資をする金融機関次第なのでとにかく早めに対処するようにします。
今回は以上になります。ありがとうございます。
→「行政書士古川元一事務所」